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2023 早春のジャム屋日記



 裏山の梅が咲き始めました。まだまだ肌寒い早春の浜風のなか、紅梅の小さな花々が凛と咲く姿は見ごたえがあります。特に2月になると瀬戸内の海の色に鮮やかなグリーン色が差し始め、この海の淡い青色と紅梅のコントラストは見ていて飽きることはありません。

3月に入ると島は河津桜の季節にはいり、多くのお客さまでにぎわいます。まだヒト気の少ない2月の周防大島は、これらの景色を独り占めできる、とてもおすすめの季節でもあります。 

 ご来島のお客さまが少ないこの季節は、私たちの工房にとっては仕込みの季節。

柑橘の島である周防大島で収穫する柑橘の種類が一番多くなるのもこの季節なのです。

年明けから伊予柑、はっさく、完熟かぼす、でこぽん、ネーブル、ブラッドオレンジと続いていきます。

それぞれの品種ごとの個性がマーマレードにするとさらに際立ちます。個人的に好きなのは完熟かぼすのマーマレード、香酸柑橘系(レモンや柚子など、香りと酸味を楽しむ柑橘類)のなかで、実は一番のおすすめです。

かぼすというとお鍋の薬味用というイメージが強いですが、樹上完熟させてまっ黄色になった果実(酸味がまろやかになります)を丁寧に下拵えし、マーマレードに仕上げていくと全く別物の味わいになります。

でこぽんやネーブルなどのスイート系柑橘にはない、とがった個性が癖になる一品です。

まだ食したことのない方は是非、お試しください。あなたのまだ知らないマーマレードの世界がそこには広がっています(笑)。 下の写真は左から いよかん、はっさく、ブラッドオレンジ、でこぽん、そして完熟かぼす。




      一方、工房ではチェッロの仕込みも最盛期を迎えています。原料となるレモンは12月頃から収穫を始めるのですが、1~2月頃が収穫の最盛期。新鮮なレモンを新鮮なうちに仕込んだほうが香りがしっかりと抽出できるため、チェッロの仕込み作業もいまが一番忙しい季節となります。

3年前の寒波によって島内のレモンの樹が被害を受け、その後2シーズンのレモンの収量がかなり落ち込んでいたのですが、今シーズンはレモン樹勢も回復し、収量も元に戻ってきました。

今年の1月下旬の寒波は予報では「10年に一度の」と言われておりましたが、万全の対策もあり、今回の寒波による被害はかなり防げたと思います。

右下の写真は、レモンの丘の幼木を寒波から守るためにビニールシートで囲んでいっている作業風景です。

樹が成長して太くなると、寒波への耐性も増すので、レモンの丘の幼木はもう数年は寒波対策が必要そうです。

ちなみに、こちらはホワイトデー専用ラッピングです!



 さて、「レモンチェッロプロジェクト」で進めてきました「古民家の宿」造り。

建物的にはほぼ完成し、小さく手直しなどを行っている段階です!

周防大島に江戸時代に柑橘栽培を伝えた藤井彦右衛門(ひこえもん)の屋敷を解体した時にでた材木で建てた築100年の古民家。その使用している木材はさらに古いため、150年や200年以上前の木材ではないかと推察されます。

移築した時に生まれたほぞ穴や、梁の配置指示の墨書きなどが当時の営みを今に伝えています。

この古民家を引き継いだ時には、基礎も傷み、ぼろぼろの状態だったため、業者さんからは家屋の解体を強く勧められたのですが、島の柑橘類でジャムやチェッロを造ることを生業としている私たちにとって、藤井彦右衛門の息吹の感じられる建屋を遺していくことが、未来への責務だと感じ、基礎から補強再生し、多くの方がご利用できる場にしようと取り組んでいます。

これから古民家周りの外構工事に入り、隣接する旧庄屋の敷地をレモン畑に造成し直し、石組みの残る庄屋の庭を一部再生、近くまでクルマが入れるように隣接する空き家を解体してエントランスを整備していきます。すべてが完成するにはもうしばらくの時間がかかりますが、完成をどうぞ楽しみにしていてください。


 最後にカフェとメディアのご報告です。

自家農園の苺も早春の陽ざしで元気いっぱいに成長しています。Jamsカフェではその日の朝に収穫した苺を贅沢に使用した苺スイーツのフェアを開催しています。

2月3月のメニューは新しくなっていますのでHPで是非ご確認ください。

特におすすめは「キングベリーのソフト」…極大玉の苺が収穫できたときのみ登場する限定メニューです。

そして右下の「完熟いちごの春色クレープ」…こちらのメニューは先日、雑誌「ノジュール」やテレビ局が取材に来ておりますので、近日中にSNSでご報告いたします。どうぞお楽しみに!

3月はせとか等の高級柑橘類が旬に、そしてブラッドオレンジのチェッロも仕込みが始まります。

3月の新作発表は3月19日20時から!どうぞ楽しみにしていてください。

園主 松嶋


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