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再開墾から 実りの畑へ ~小さな春が舞い降りる3月のジャム屋日記~

島は清々しい早春の風が吹く季節になりました。梅や河津桜も満開の季節を迎え、ドライブで来島されるお客さまも増えてきました。



島のあちらこちらで小さな芽吹きが始まっています。下の写真はジャム工房前のすももの樹に咲き始めた小さな花々。



そしてジャム屋の農園でもこの季節を待ちわびていた果実があります、そうブラッドオレンジの収穫の始りです。鳥につつかれないように防護ネットをかけていたのを取り外し、見えてきたのはブラッドオレンジがたわわに実った果実の森。



そこに分け入り、一つ一つ丁寧に収穫をしていきます。もちろん今年の出来栄え確認の味見も忘れずに。今年は定植してから8年、そしてこの8年間で最高の味に!この1年間の太陽と雨、そして島の大地に感謝し、パチンパチンと収穫ばさみで摘み取っていきます。手際よくテボ(収穫用の肩掛けカゴ)に入れ、運び出すためにコンテナへ移し替え、工房へ。



この畑の物語は創業間もない2011年に話はさかのぼります。ジャム屋としてマーマレードにブラッドオレンジなどの柑橘が欲しい。しかし、島の中で栽培している農家さんはいない。「ならば自分たちで育ててしまおう!」と考え、栽培できる畑を探し始めました。条件のいい畑がなかなか見つからなかったため、どうせ借りるならジャム屋のすぐ裏山だと後々使いやすいはず、と判断し20年近く放置されていた耕作放棄地を再開墾することになりました。今思えば素人だからできた判断でした。そのあとの再開墾の大変なこと大変なこと。。。(下の写真の奥、森のようになっているところが借りた耕作放棄地)



チェーンソーの使い方から教えてもらい、伸び放題の樹々を伐採。それを運び出し、、、大型チッパーで樹を粉砕。 始めたばかりのお店にはスタッフもほとんどおらず、数人でやってもやっても遅々として進まないものだから、、、結局地域の方々にたくさんたくさんお世話になりました。伐採した樹木を運び出し、まずは地表が見えるところまでなんとかやりくり。その後、大きな樹の株を掘り起こす抜根作業。ここでもパワーショベルの使い方を初めて教えてもらい、なんとかなんとかやりきりました。



そんな再開墾畑の中から出てきたのは先人たちが苦労して積み上げたであろう綺麗な石垣。昔の方々がパワーショベルなどの重機もない中、どうやって原始の森を開墾し石垣を積み上げたのか。島の先人たちを尊敬せずにはいられません。



2011年4月5日晴天。この日も爽やかな春の風が吹いていたのを未だに覚えています。地域の方々に協力してもらい、ようやくブラッドオレンジの定植作業が完了。



それから8年の歳月が流れ。今日、たくさんのたくさんの果実が収穫できました。果実ひとつひとつにこの畑の物語を思い出しつつ、パチンパチンと小気味いい音を響かせながら収穫をしていきます。



さて、そんな苦労も果実を味わうとどこかへ吹っ飛んで忘れてしまいます(笑)。下の写真は外皮を剥いた ブラッドオレンジの果肉。なんだか肉屋のようですが、、



それをミキサーで粉砕すると真っ赤なスムージーの完成です。このまま飲んでもとてもおいしいので、ついつい味見してしまいますが、、、これをもとにマーマレードに仕上げていきます。


一方、ブラッドオレンジの外皮には苦みが少なくそのまま生で食べても美味しいくらい。そこで今年のブラッドオレンジを本当にまるまる味わっていただこうと、当店自慢のフォークで食べる「かぶりつくマーマレード」シリーズに!



これは本当においしいです。



一方、赤色つながりで今の旬といえば、やはり完熟いちご!いちごハウスにはミツバチたちが飛び交い、真っ赤に熟したいちごたちがたわわに実っています。晴れた日のハウス内はまるで初夏のような暖かさ。いちごたちがすくすくと育っています。


早朝に収穫されたいちごたちは、すぐ隣の工房に運びこまれ、工房では苺のヘタとりが黙々と続きます。多分、普通の人はこれだけ多くの完熟いちごを目の前にする事はあまり無い事だと思います。作業は大変ですが、工房全体がいちごの甘酸っぱい香りに包まれる春の贅沢な時間でもあります。

今月はスタッフと考案したいちごの新作ジャムも仕込み中!是非お楽しみください。


「マーマレードの中で一番人気のあるのは何か?」とよく質問されます。もちろん人それぞれで好みが異なり、意見は分かれますが総じて万人受けするマーマレード、それが「清見オレンジ マーマレード」です。自称マーマレードフリークの私も、この清見オレンジだけは別格の位置づけです。酸味、香り、歯ごたえ、苦み、舌触り、、、単品種の果実のマーマレードでここまでバランスの取れたマーマレードはなかなかあり得ない、そんな存在です。そんな期待の大きな清見が今年も工房に届きはじめました。外皮を刻み水にひたし、あく抜きをしているのが左下の写真です。


もう一つ、この季節のオススメマーマレードといわれると、きんかんのマーマレードでしょう。他の柑橘にはない、果皮をメインに楽しむ果実、それがきんかんのだいご味。ただ、この果実の難点は、、、その実が小さいこと。そしてタネを取るのはタダタダ根気だというところです(笑)。しかしこの時季のきんかんは適度な酸味があり、マーマレードには最高の素材。完成したマーマレードを想像しながら、一つ一つ手作業を積み重ねていきます。


ここからはいろいろと御報告。一つ目は冬の香りを楽しむ「ジャム屋の季節便~冬の果実号~」の発送。3月上旬から発送が始まっております。冬号のお届けからスタートをご希望の方は是非お急ぎお申し込みください。



2つ目の ご報告は、3月初めに開催された横浜パンのフェス。東京でジャム屋の取り組みに共感し、ジャムの販売を手伝っていただいているメンバーが集い、3日間赤レンガ倉庫前広場で販売をしてきました。最終日には店主の私も参加。しかしあいにくの大雨でお客さまもまばらな中、ジャム屋を目的にお越しいただくお客さまが多く、、、寒くて凍えるようなコンディションでしたが心はとってもホットになりました。ご来場いただいた皆様、有難うございました!



3つ目のご報告は、ジャムズカフェの新作スイーツ。いちごの季節を存分に楽しんでいただけるよう、グラスに小さな春を閉じ込めました。イチゴのグラスショートケーキを始めます(ジャムズカフェではジャムを使った旬のスイーツを提供しています)!



4つ目のご報告は、JALの機内誌「スカイワード」にて紹介されました!!!といってもごく一部載っている程度ですが、、、。搭乗の際には是非、ウォーリーを探せ状態でジャムズの記事を探してみてください(笑)。


5つ目のご報告です。

トラベルジャーナリストの寺田直子さまに周防大島をご紹介いただきました!是非ご覧ください⇩⇩⇩ https://news.yahoo.co.jp/byl…/teradanaoko/20190224-00115913/


最後のご報告。3月20日~24日まで、下関大丸で開催される「Yabパンフェスタ」に出店しています。お近くの方は是非ご来場ください。


(3月の月次販売 特設ページはコチラ)


(4月の月次販売予定) 4月14日(日)21時~



瀬戸内ジャムズガーデン

店主 松嶋 匡史








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