
さあ、花の季節がやってきました。多くの植物がこの時期に花を咲かせるので見ていて飽きない季節ですね。人間にとって心地よい季節は植物にとっても心地よい季節なんですね。もちろんジャム屋の庭・農園も花盛り。ジャム屋の入り口横に植えているマリーローランサン(バラ)も大輪の花を咲かせています(上の写真)。
そして柑橘にとってもこの季節が花の季節なんです。「蜜柑の花が咲いている…」という歌をご存知の方も多いと思いますが、その歌われている季節はまさに今なんです。柑橘の花はその柑橘のにおいがすることが多く、柑橘畑の多いこの島では車を走らせているだけで爽やかな香りが漂ってきます。

上の写真は弓削剽柑(ユゲヒョウカン)の花。受粉した早いものは下の写真のようにめしべが膨らみ、これがゆくゆく実(柑橘)となっていきます。

ちなみにその弓削剽柑(ユゲヒョウカン)という柑橘は下の写真のようなもの。珍しい縦長の柑橘で味はグレープフルーツに近いですが苦みは少なく、生で食べるのにも適しています。今の時期は一年前に花だった果実の収穫時期にも当たります。果実と花が同時になっているちょっと不思議な光景が見られるのも面白い果実です。この弓削剽柑はマーマレードにすると初夏の時季に最適なサパリとした爽やかなマーマレードに仕上がります。島の初夏の楽しみの一つなんです。

もう一つこの時期のフルーツといえば完熟いちご。イチゴは一般的に市場流通させるため、7部熟れ(完熟が10として7割ほどの熟した状態のこと)で収穫され、出荷します。その方が傷みにくいからなんですが、いちごは収穫後色づきは増しても糖度は上がりはしません。つまり収穫した時点以降は熟さないので、見た目は良くても味は7部熟れのままなんです。完熟した苺の香りと風味は全く別格なのに・・・ということで収穫後すぐにジャム加工できる当店のために農家さんが、完熟苺だけを選りすぐって収穫していただいたのが「完熟苺ジャム」の原材料。果実のことを知れば知るほどその魅力に取りつかれていくのはジャム屋の性なんでしょうか(笑)。

今年も濃厚な完熟苺のジャムが煮あがりました!

そしてこの春の新作ジャムがこれ。完熟苺を完熟キンカンと共に煮込んだ一品で苺ジャムの中にキンカンがコロコロッと浮かんでいます。味ももちろんおいしいのですがその見た目の可愛さもお気に入りの仕上がりです!

そしてこの春から新しく始まったジャム屋のプロジェクト「島いもプロジェクト」。もともとこの島の半分ぐらいの土地は高い山がないエリアが広がっています。高い山がないと川や湧水がない。すると自ずと稲作には向かないため、江戸時代からさつまいもが主な生産作物だったわけです。古くから芋とかかわりの深かったこの島で芋を栽培する計画、それが「島いもプロジェクト」なんです。

そして島の抱える大きな課題。高齢化とそれに伴う耕作放棄地の拡大。その解決策にもなると思い、ご高齢で柑橘畑を維持することが困難になった農家さんが柑橘の樹を切った畑をジャム屋で借り受けることにしました。その現状が上の写真。樹を根元の部分で切っただけでこのままだと雑草が生え、ツタが絡み、草刈もできない状況になってしまいます。伐採した蜜柑の樹を偲びつつチェーンソーを片手に一気に燃やしていきます。畑を再生するためにはこういう作業も必要なんです。

そしてタイミングのいいことに、この島で農業をしたいと移住してきた若者がジャム屋で働くことになりました。下の写真がその中村君。農業については全くの素人ですが、さらに強力な助っ人が!山口県の農業試験場の所長も務めた方がジャム屋の畑のアドバイザーになっていただけることに!!これで大きくジャム屋の農業部門が花開くのではないかととても楽しみな春になりました。

ミカン畑だった畑が下の写真のように整備されました。この作業がかなり大変なんですが、一度荒らしてしまった畑を耕作できる状態に戻すのにはその倍以上の大変さがあります。だからここが頑張りどころなんです。

そして最後に畝たて。マルチシートという黒色のビニールシートを畝に敷くことにより雑草に水分や栄養を取られることなく、さらに地温が上がることによりもともと南方の植物であるサツマイモの育成をよくすることができる。ここまで来るとやっと苗の植え付けが視野に入ってきました。

下の写真は畑にマルチシートを敷き終えた風景です。この畑の上段にある畑でも同じ作業を進行中。植えるサツマイモ苗はなんと1000本!今年の秋の季節便にはジャム屋で栽培したお芋も同封できるかもしれません。

そして今月最後の話。ジャム屋となりのブルーベリー園では先月花盛りだったブルーベリーの実がこんなに大きく!!収穫は7月なのでここからさらに大きく実り、熟していくのです。夏の収穫が今から楽しみです!
